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伝道掲示板

第6回 真城義磨先生のお話

2009.08.06

2009年8月6日暁天講座

 

仏法に出会っている私たちは、こういうものの限界を教えてもらう。
いつの間にか日本は、世界のトップレベルの衣食住に困らない国になった。平均寿命も世界一です。どこまで行くのかというくらい、更新しております。女性の平均寿命は86歳を超えた。平均寿命が86歳というとは、生まれた方の半分が亡くなるのが86歳、ということです。半分以上の人は、86歳以上生きるわけです。そこそこ健康で、そこそこ長生きで、衣食住に困ることなく、便利で快適で。人間の知恵というのは、不便であったり、不快、不足といった、総じていえば不都合ですね。その不都合を排除する方向で進んでいきます。
 

第一段階では、都市化、という方向で進んでいきます。
電気・ガス・水道、電波、医療、福祉、教育、色々なものが、どんな田舎にいても享受出来るように改善していくのが都市化です。
私が生まれたところは、瀬戸内海の島でしたから、私が子供のころは本当に水がありませんでした。梅雨が明ければ、一か月は一回も雨が降らない。川もありません。井戸がいくつかあるだけです。そうすると、夏中断水いたします。4時間断水。4時間断水と聞くと、断水するのが4時間と思われるかもしれませんが、水が出るのが4時間です。その時間に水を汲まないと、水はありません。ですから、一回使った水を流すということはほとんどありません。必ず溜めて、畑に使ったりと、再利用します。そんな不便だったところが、今では欲しいだけ水は出ますので、全自動洗濯機で全然問題ないです。
そこに何が起こったか。海水の淡水化装置が設置されました。海水が何の栄養もない真水に変わります。それを貯水池の水と混ぜて水道水としております。
電気も、昔はよく停電しましたが、海底ケーブルになりまして、ほとんど停電することはなくなりました。こういうのを都市化といいます。
 

都市化が進みますと、次は、個別化いう段階になります。
それまでは、町全体がよくなることが目的でした。それに行き着くと、個人個人の都合に合うような生活ができる、ということが目標になります。家の中が個室だらけになり、エアコン・リモコン、自分の好きな温度で生活が出来るようになる。コンビニエンスストアがあるところであれば、いつでも物を買うことができ、何時であろうが、食事を摂ることや、風呂に入ることができるようになる。そして、自分の趣味に合わせて好きなものを選んで買える社会が出来てくる。
電話も昔は、一台の電話を村中で共有しておりました。それが一家に一台となり、今はポケットの中に入っております。しかも声を出さなくても、親指さえあれば通信ができます。人類史上こんなに親指を使う文化はなかったかもしれません。
自分の都合に合わせて都合のいいことができる。これが個別化です。
 

個別化になると、コミュニケーションの過疎になっていきます。人が沢山いても、寂しい者ばかりが集まっている。そうなると、どう話をしたらいいのか分からない、上手く相手と会話をしたらいいのか分からない、という若者が今の日本には溢れております。
先日もある会社の人と話をしておりましたら、こんなことを言っておられました。新入社員が誰も電話に出なくて困っている、と。生まれていっぺんも、線の付いた電話をかけたことがない子どもが沢山おります、想像つかないかもしれませんが。携帯電話しか知らない。携帯電話は、誰からかかってきたか分かった上で出る。しかし会社の電話がどれだけか鳴っていても、誰からなのか分からない、どんな内容なのか想像もつかないから、なかなか電話をとる勇気がなく、電話に出ない。それで上司から怒られる。それがクレームの電話だったりすると凍りついてしまう。そんなことが続くと、こんな会社辞める…、となってくるそうです。
個別化によって、自分の思い通りになるはず、私の都合通り進んで行くはずだ、と子どもたちに思わせてしまうようになった。
 

私たちは、この便利で快適な世の中を創ろうと思って努力してきました。それこそ人間の知恵。人間は、知恵をつけることによって、他の動物と異なって、言葉を持ち、記憶することが出来て、話し合うことが出来る。様々に文明を創って、私たちはその恩恵をものすごく被っております。
しかし、人間の知恵は、どこまで先が見通せたとしても、実は一寸先までしか見えていない、一寸先までしか見る知恵しか持っていないんです。あらゆるものが便利で快適になったけれど、ふと気が付いたら、この地球に人間があと何年住めるのか、というくらい、環境はズタズタになってしまった。それぞれの個別化された個人の都合、欲しいものは皆手に入るようになっても、全体とすればもう成り立たないほどになってしまっている。
 

方法合わせで、京都議定書でCO2排出削減と言ってみても、少し景気が悪くなると、CO2排出削減はどちらでもよくなって、1,000円で走りたいだけ走りましょう、となってくる。このお盆も渋滞します。渋滞するとエンジンも不完全燃焼となり、調子よく走っているときの何十倍ものCO2が排出されます。ついこの間まで、CO2排出削減と言っていたんではなかったか、という話になってきます。
瀬戸内海では、高速道路が1,000円になってから、フェリー会社が何件も倒産しております。今まで本州から四国に渡るのは、通行料よりフェリーの方が安かった。正確に言うと、フェリー会社は、通行料より安い料金設定をすることで、辛うじて生き延びてきた。ところが、走り放題1,000円となると、どうにも勝負になりません。近所でも航路が廃止になり、失業する人も増える。しかも、車を持たないお年寄りからすれば、手段が絶たれます。病院に行くのも、これまでは、朝一番の船に乗れば午前中に帰ってこれたものが、一日仕事になってしまった。
昨年11月に広島県と橋がつながり、これでやっと救急車が来てくれるようになる、と思って期待していました。島で一番困るのは、急病人が出た時です。普通、救急艇という船が来ます。ところが船ですと、乗り込んでから出発するまでにものすごく時間がかかります。霧がかかる等、天候によっては船は出ないことがあり、見す見す亡くなっていく、という事態にもなります。四国にドクターヘリは一機もありません。瀬戸内海全体でも、岡山の一病院が保有しているだけです。そんな状況でしたから、余計に期待しましたが、消防や警察は県境を越えられないんです。今まで通り、愛媛県に連絡して、救急艇に依頼するしかない。波が高い、霧がかかっているため出艇できない、ということになって初めて、愛媛県から広島県に依頼する。そうすると広島県から救急車が来る。2時間も3時間もかかる。これも県の都合です。それぞれの都合です。見通すことが出来ません。
 
 

⑦へ続く

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